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ガイア の夜明け〜不況下で進化…リフォーム新時代〜2009.10.27に“京花傳”が取材されました。 “京花傳”とは、某百貨店外商部に弊社が提供するブランドで、京都迎賓館や桂離宮などを手がける京都で一流の職人さん達がリフォームするこだわりのマイスター集団です。
 
 

ホンモノの摺り師職人が作る京から紙はスゴイ!のひと言でした。
当時、京都表具組合の理事長からお聞きし、伺った京から紙摺り師職人の工房は、むかし小学校だった古い木造校舎で、大きな古い黒板が当時の様子を物語っているようでした。お伺いした日は、手漉き鳥の子紙に※柿渋を塗っておられ、塗り終わった鳥の子紙は、広い教室一面に敷きつめられて床がレンガ色一色でした。その上品な色に圧倒されたのを今も鮮明に覚えています。まさに、それは高級旅館で見たふすま紙でした。あの桂離宮や二条城のふすまも、ここで作られているとか。他所からでは知り得ないところに凄い仕事をしている職人が、まだまだ残っている京都の奥深さに胸が熱くなりました。
京から紙は、版画のような技法で製作されますが、大きく違うところは版画は”ばれん“で摺りますが、から紙は”手”で摺ります。和紙から版木の感触が手のひらに微妙に伝わり、キラ粉や絵の具の紙への付き具合が判るのだそうです。版木の大きさは300mm×450mmですから、それをずらせてふすま紙(1910mm×970mm)に摺っていきます。細かい柄は型によるつなぎ目が出ますが、これがプリントではない京から紙の特徴で、デザイン的に見ても味わいがあります。
昔の人はアートをインテリアに取り入れて日々の生活をより豊かに楽しんでいたのですね。

技が生み出された背景はこちらから→

 
    いい仕事をする職人は、仕事の合間にググッとくる言葉をぽつりと語られます。その言葉は熟成されたお酒のように味わい深く心に深く残るのです。
その時の言葉が、
“見ようとする時に見えて、見ようとしない時には見えない。それが、最高の京から紙なんだ。”
生活シーンにもよると思いますが、和室や茶室などでは空間の邪魔にならず、それでいて気品のある存在感を醸し出す京から紙のふすまは、この言葉がすべてを表している気がします。
    京から紙のふすまは、その職人さん1人でほとんど摺っておられるとお聞きし驚いた私は、すごく心配になりお尋ねしました。
私:
職人さんが辞めたら、お弟子さんもいないので誰がこの技を引き継がれるのですか。
職人:
いないな。
私:
じゃあ、今までお聞きした、キラ粉とフノリを季節、温度、湿度に合わせ調合し、手による摺り方など見て覚える機会がなければ、滅びていくだけじゃないですか?
職人:
しょうがないな。
私: 交流がある京都の美術大学の学生さんに教えてあげて下さいませんか?彼らも喜んで学びに来ますよ。
職人:
わたしは体が丈夫じゃないので無理をしたくないんだ。
私:
でも、この技術は守って行きたいですよね。本来なら京都市が支援して守っていく仕事です。今後、機会があるごとに協力してくださいね。
職人:
いいよ。でも、君も無理はしないでな。途中で倒れたりと かして、迷惑を掛けてしまうかもしれんからな・・・。    (相手のことまでお気遣いいただくこの優しさと頑固さが仕事にも現れているのですね。)
    それから数ヶ月後に表具師の方から、“今、あの京から紙の職人さんに技術を教えてもらって頑張って摺っている人物がいる”との連絡が入り、すぐに会いに行きました。これが弊社の近くだったのです。昔より職人さんの数は減りましたが、まだまだ意外な所でスゴイ職人さんが世間に知られることもなくコツコツと仕事をしているのです。京都の魅力です。
彼は京都精華大学(美術系)出身者で、チャレンジ精神は人一倍の職人気質をもった好青年でした。そして私と同じ志を持って京から紙の製作を始めたと聞かされ、これから京都の伝統に新たな世界を築いていくのは彼の様な人だと思いました。 彼は、大正時代に彫られた版木も多く保管しており、痛みのひどいものは宮大工とレーザー彫りの技術を融合し,古典柄の版木を忠実に再現していました。
さすが!

こんな出会いで、この素晴らしい京から紙の魅力を、多くの皆さんにご紹介し、居心地のいい空間づくりの応援が出来ればと始めました。また、ある職人さんから「職人にとって工務店からの仕事がほとんどの為に、この素材にはこの仕様がよくても工務店の言われたままで納めてしまう。こんな見せ方もあるのにな。このメンテナンスはこのようにすれば味わいが増すのにな。」と生活のヒントになる話が施主さんにまで届かない 事情がありました。京都御所迎賓館や桂離宮・有名神社仏閣を手掛けている職人さん達の、今までエンドユーザーに届いていなかったこの素晴らしい技と知恵を、皆さんにお役立ていただきたかったからでした。
先日、偶然立ち寄った本屋で、BRUTUS・676号『忙しくて、たまにしか旅行に行けない人が、せっかくの休みに、本当にわざわざ泊まりに行く価値ある日本の宿、リゾートはどこだ?』を見て、“星のや京都”の記事に目が留まりました。あの摺り師職人さんが手がけたと名前が載っていたのです。感激しました。
※柿渋は、和紙に塗ると強度が増し防虫効果があるため、昔はよく使われていました。今でも一閑張という和紙をベースにした漆塗りの下地に使われています。また、ベンガラ色のような色合いと経年による深みある変化は、お洒落なふすまとして使われています。